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福岡県久留米市で、四人組の看護婦が保険金目当てに起こした連続殺人事件。

犯人の四人は、同じ看護師学校を卒業した同窓生だった。

四人のトップに君臨した吉田純子は他の三人を下僕のように操ったという。

福岡四人組保険金連続殺人

平成13年8月(2001年)、一人が警察に自首したことから四人は逮捕される。

四人は福岡県の同じ看護師学校の同窓生で、学生時代からの顔見知りだった。

 

主犯の吉田純子は、福岡の貧しい家庭の生まれで金銭欲が強く、他の三人を下僕のように扱っていた。

純子は、学生の頃から周囲の人間を言葉巧みに操り、嘘で金を騙し取るなどしていた。

純子に下僕のように扱われていた三人は、純子の詐欺のターゲットとして金を搾り取られたうえ、共犯として犯罪に荷担させられていた。

出会い

主犯の吉田純子

 

昭和50年(1975年)4月、吉田純子は佐賀女子高校衛生看護科に入学したものの、詐欺行為事件を起こして正看護婦の資格取得課程に進学できなかった。

正看護婦資格のために聖マリア看護専門学校に再び入学した純子は、ここで池上和子や石井ヒト美と知り合い、一年後に幼少期からの同級生の堤美由紀と再会する。

 

看護専門学校を卒業した後、吉田純子と他の三人は疎遠になっていた。

しかし、平成元年に堤美由紀が転職したという噂を聞きつけ、8年ぶりに純子は美由紀に連絡をとった。

こうして看護学校卒業から8年後に純子と美由紀は再会を果たした。

先生

再会後、美由紀の職場の病院に純子が転職して二人は同じ病院で働くようになる。

当時、不倫に悩んでいた美由紀が純子に相談するようになると、次第に美由紀は純子を頼るようになっていった。

学生時代から数々の嘘で周りを翻弄してきた純子にとって美由紀を信じさせることはたやすいことだった。

だましの手口は、「先生」という架空の人物を作り上げて言葉巧みに美由紀を操っていくことだった。

 

純子と美由紀は、医療ミスで苦情がきたと嘘をついて同僚から500万円を騙し取る。

純子は、ありとあらゆる嘘で美由紀からも金を巻き上げていった。

美由紀は看護婦になってから、毎月3万円、ボーナス時には10万円を母親に仕送りしていたが、純子はその金にも目をつけて巻き上げた。

 

しばらくした頃、聖マリア看護専門学校時代の同級生、石井ヒト美と池上和子とも交流を再開するようになった。

しかし、純子にとっては他の三人は金づるでしかなかった。

 

平成6年(1994年)3月、石井ヒト美が夫と別居し、マンションを1,000万円で売却すると、吉田純子は石井ヒト美から金銭を騙し取ることを計画。

言葉巧みにヒト美から750万円を騙し取った純子は、池上和子を次のターゲットにして2,800万円を騙し取った。

第一の殺人

周りの人をだまして金銭を騙し取った純子だったが、高級エステに通い、高価な食事をし、高級ホテルに泊まったりと、金遣いが荒かったため、ローンやサラ金の借金は一向に減らず、常に金には困っていた。

そこで、次に純子が思いついたのが保険金殺人だった。

 

最初のターゲットは、池上和子の夫、平田栄治だった。

和子は以前、同僚とのトラブルを純子に助けられて以来、純子を信じ切っていた。

純子は、和子に旦那から保険をかけられて殺そうとしているという作り話をする。

さらに美由紀も加わり、言葉巧みに策を弄し、やがて和子は話を信じるようになる。

 

平成10年1月21日、吉田純子、堤美由紀、池上和子の三人は、医療知識を使い、和子の夫である平田栄治の殺害計画を実行する。

21日の最初の凶行は失敗に終わったが、23日午前2時、ビールで昏睡状態の栄治に近寄り、針を抜いては空気を入れるという作業を続けて死に至らしめた。

2月19日、池上和子の銀行口座に夫の死亡保険金の3,498万7,378円が振り込まれると、3,450万円が純子に渡った。

第二の犠牲者

平田栄治殺害後、次に目を付けたのが石井ヒト美の夫、剛にかけられている3,300万円の生命保険だった。

石井ヒト美を騙すため、夫の剛が浮気相手に貢ぐためにあちこちで人を騙しているといった話を作り上げた。

次第にヒト美は純子の話を信じるようになり、3月27日、4人組は剛を急性アルコール中毒に見せかけて殺害した。

事件発覚

事件の発覚は、ヒト美が母親に純子のことを相談したことからだった。

 

当時、純子はヒト美の父親の土地を奪うことを計画しており、ヒト美に話を持ち掛けていた。

ヒト美からの相談を受けた母親は、ヒト美の伯父にあたる人物に相談した。

ヒト美は伯父に勧められて8月2日に久留米警察署に最初の相談に行く。

 

純子のことを思うと恐怖だったのか、最初は夫殺しを伏せていたヒト美だったが、8月6日に伯父と一緒に久留米署へ駈け込んだ際に夫殺しを自供する。

石井ヒト美から夫殺しの自供を受けて、警察の捜査は水面下で進められた。

 

純子が逮捕されたのは翌年の4月17日だった。

純子の逮捕によって他の三人も逮捕され、事件内容が一気に明るみになった。

判決

第一審では、吉田純子が死刑、堤美由紀が無期懲役、石井ヒト美が懲役17年の判決だった。

池上和子は判決前に病死している。

 

純子は、判決を不服として控訴したが、福岡地裁は控訴を棄却した。

純子は、これを不服として上告したが、上告も棄却され、ここに純子の死刑が確定した。

 

2016年3月25日、吉田純子の死刑が執行された。

 

 

 

参考

黒い看護婦 福岡四人組保険金連続殺人  森功

奇跡体験アンビリーバボー