「葛城事件」を勧められたので観てみた。
動画を観る前にネットで検索してみたら、この映画は殺人事件の加害者家族の話を題材にした内容ということが分かった。
映画のモデルとなった事件が、「池田小児童殺傷事件(付属池田小事件)」ということも知った。
池田小児童殺傷事件といえば、大阪地裁に「我が国犯罪史上例を見ない、空前絶後の、凶悪重大事犯である」と言わしめた無差別殺傷事件だ。
映画「葛城事件」概要
『その夜の侍』赤堀雅秋監督の待望の第二作目。人間の愚かさを描き、観る者の心を鋭く抉る濃密な人間ドラマ。
抑圧的で思いが強い父親。長男はリストラされ孤立。妻は精神を病む。
次男は無差別殺傷事件を起こし、死刑囚に。
そして、死刑反対の立場から次男と獄中結婚した女ー。
壮絶な、ある家族の物語。2012年『その夜の侍』で監督デビューを果たし、国内外で高い評価を得た赤堀雅秋。
本作は2013年に赤堀の作・演出で上演された同名舞台の映画化。
今回の映画化にあたり、自身が新たに改稿した。
主演の葛城清役には三浦友和。
理想の家族を求めながらも、崩壊へと向かわせてしまった父親を鬼気迫る迫力で演じている。
そして、その家族に南果歩、新井浩文、若葉竜也、さらに獄中結婚する女に田中麗奈と実力派俳優が集結し、
問題をそれぞれに抱え極限に立たされていく家族を演じている。
凄惨な殺傷事件の背後にある加害者家族の隠された闇。
人間の心の暗部を徹底したリアリティをもって丁寧に描き出し、
観る者の心を鋭く抉る濃密な人間ドラマが完成した。
ストーリー
親が始めた金物屋を引き継いだ葛城清は、美しい妻との間に2人の息子も生まれ、念願のマイホームを建てた。
思い描いた理想の家庭を作れたはずだった。しかし、清の思いの強さは、気づかぬうちに家族を抑圧的に支配するようになる。
長男・保は、幼い頃から従順でよくできた子供だったが、
対人関係に悩み、会社からのリストラを誰にも言い出せずにいた。
堪え性がなく、アルバイトも長続きしない次男・稔は、ことあるごとに清にそれを責められ、理不尽な思いを募らせている。
清に言動を抑圧され、思考停止のまま過ごしていた妻・伸子は、ある日、清への不満が爆発してしまい、
稔を連れて家出する。そして、迎えた家族の修羅場・・・。葛城家は一気に崩壊へと向っていく
モデルは「池田小児童殺傷事件」
池田小児童殺傷事件は、池田市に住む無職の宅間守(37)が起こした無差別殺傷事件。
宅間は、出刃包丁をもって大阪府池田市にある大阪教育大学教育学部付属池田小学校に侵入し、1年生と2年生の子を、刃物で刺しては切りつけるといった凶行を行った。
犯行を聞きつけた校長や教師がかけつけて宅間は押さえられた。
小学校に侵入してから取り押さえられるまでの15分の間で、児童8名を殺害し、教師を含む15人に重軽傷を負わせた。
宅間は、取り押さえられた後、全身に返り血を浴びながら、平然と「あーしんど」とうそぶいたという。
映画を観て
実際に映画を観てみると、犯人の年齢が若いこと以外はそのまま事実にのっとった内容になっていると思った。
映画では犯人の年齢が21歳だったので、「秋葉原通り魔事件」「土浦連続通り魔事件」かとも思った。
今までの映画では、犯人にスポットを当ててばかりで、加害者家族が注目されることはあまりなかった。
三浦友和さん演じる加害者の父は、自己中心的で高圧的、入った店ではクレーマーと化す嫌な奴。
でも、実際はこんな奴はどこにでもいる。自分の周りにもこんな奴はたくさんいる。
妻との間に二人の息子も生まれ、念願のマイホームも手に入れた。元々は、どこにでもある一般的な家庭だった。しかし、実際は自己中心的な父親の影響で、妻は出て行ってしまい、長男はリストラされた自分を追い詰め、次男は無差別殺傷事件を起こして死刑囚となる。
次男が無差別殺傷事件を起こしたことで、マイホームには「人殺し」「死ね」といった落書きがかかれるようになる。
家族が犯罪を起こしたら、家族にも罪が及ぶのか。
どこにでもある家庭も、少し歯車が狂えば、葛城一家のように崩壊が起こるかもしれない。