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2004年に福岡県の大牟田市で4人の連続殺人事件が起きた。

逮捕されたのは、大牟田市の暴力団一家で、父、母、長男、次男に対する判決は「一家全員死刑」だった。

 

事件は、「全員死刑」というタイトルで映画化もされている。

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大牟田4人殺害事件の概要

福岡県大牟田市で暴力団一家が起こした連続殺人事件。

犯人は、大牟田市の暴力団「北村組」の組長の父・北村實男(60歳)、母・真美(45歳)、長男・孝(23)、次男・孝宏(20)の一家4人。年齢は、いずれも当時のもの。

被害者は、北村家と付き合いのあった高見小夜子さん(58)、長男の龍幸さん(18)、次男の穣吏さん(15)、長男の友人の原さん(17)の4人。

引用元 「全員死刑 大牟田4人殺害事件 死刑囚獄中日記」鈴木智彦

 

 

2004年9月16日、北村家長男の孝と次男・孝宏は、高見さんの次男・穣吏さんを殺害し、高見家に押し入り、金庫を盗んだ。

その後、借金で追いつめられていた一家は、家族4人で共謀して高見家の財産を盗むため、小夜子さんに睡眠薬を飲ませたうえで殺害した。

小夜子さん殺害後、北村一家は、次男の穣吏さんを探していた長男の龍幸さんと友人の原さんも殺害した。

 

しかし、行き当たりばったり的な杜撰な殺人だったため、殺害はすぐに露見し、一家4人は逮捕された。

2011年10月、一家4人の死刑が確定した。

犯人一家

父親の北村實雄(じつお)は、指定暴力団「北村組」の組長だった。

北村家では、土建業も営んでいたが、借金まみれで事件当時は火の車だった。

實雄は、やくざになる前は、タクシーの運転手をしていたというように、やくざっぽく押しが強い性格ではなく、どちらかというと内弁慶タイプだった。

 

母親の真美は、組の前で暴走行為を繰り返していた暴走族の女の子を殴るなど男勝りで大牟田では有名だった。

實雄が組の若い衆に暴力を振るうときは、一緒になって殴りかかっていたため暴力団からも恐れられていた。

 

長男・孝と次男・孝宏との関係は、長男が計画して指示を出し、それを実行するのが次男だった。

長男は、過去に殺人事件を犯していたが、懲役3年6か月で出所している。

このことがあって長男は人を殺しても大した罪にならないといった考えを持っていたふしがある。

 

次男は、中学の頃は窃盗、傷害、強盗、強姦、シャブと犯罪のオンパレードだった。そんな次男も中学を卒業した後は、力士を目指して相撲部屋に入門する。

相撲部屋は、1年半で辞めることになり、その後は被害者の高見龍幸さんと一緒に暴走族をつくって暴れるなどしていたが、やがて父親が組長を務める北村組の構成員となった。

 

18歳の終わり頃に、大分少年院に入り、事件の約4か月前に出院したばかりだった。

 

1人目の殺人

1人目の殺人は、長男・孝が計画して次男・孝宏が実行役となった。

 

孝が高見家に2千万円あるという話を聞き、2千万円を手に入れるため、当時家にいた穣吏さんの殺害を計画する。

北村家と高見家は、家族ぐるみの付き合いだったため、2人が高見家を訪れるのは穣吏さんにとってはいつものことだった。

穣吏さんを背後から襲ってタオルで首を絞めて殺すのは、相撲部屋で修業した孝宏にとっては難しいことではなかった。

 

穣吏さんは、殺された後、北村の家から5分ほどの川に捨てられた。

2人目の殺人

2人目の犠牲者となる高見小夜子さんは、暴力団の力をバックにして主婦を相手に無届の金貸しをしていた。

小夜子さんの金貸し業は順調だったようだが、北村家の方は借金を抱えて火の車だった。

自分たちの力を利用してるくせに、北村家に利益を還元しない小夜子さんは、北村一家の理屈では、殺してもいい存在ということだった。

 

父・實雄と母・真美は、小夜子さんの殺害を計画。

真美によって睡眠薬入りの弁当を食べさせられた小夜子さんは、眠らされて北村組の事務所に拉致される。

組事務所に拉致後、小夜子さん殺害のために長男と次男を呼び寄せた。

話し合いでは、誰に小夜子さんの殺害方法と誰が殺害するのかが問題となったが、誰も自分の手を汚したがらず、結局、次男・孝宏が小夜子さんの殺害役を買って出る。

 

小夜子さんを車に乗せ、大牟田川の河口にある緑地公園に連れていき、孝宏が小夜子さんの背後からワイヤーをまわして絞殺した。

孝宏は、穣吏さんと小夜子さんを殺害する際に大興奮し、楽しくて仕方がなかったと後に述懐している。

 

小夜子さん殺害の後、小夜子さんの財産を盗むため、一家は小夜子さんの死体を積んだまま高見家へと向かった。

 

3人目と4人目の殺人

高見家に到着する直前、1台の車が向かってくる。

よく見ると車に乗っていたのは、高見家の長男・龍幸さんだった。

孝宏が龍幸さんに気付いて車に近づくと、助手席には原という龍幸さんの友人が乗っていた。

 

最初の計画では、龍幸さんだけを殺害する予定だったが、原さんに顔を見られてしまったため、全く無関係にもかかわらず原さんは殺されることになってしまう。

 

龍幸さんは、孝宏とは一緒に暴走族をつくった仲間であり友人だった。

龍幸さんもまさか友人に殺害されるとは思っていなかっただろうし、ましてや原さんに至ってはほぼ初対面である。

ただ、孝宏は地元では手の付けられない不良として知られていたので、原さんは孝宏のことを知っていたようだ。

 

孝宏は、穣吏さんを探していた龍幸さんに、一緒に探すことを提案する。

龍幸さんを原さんと一緒に車に乗せると人気のない場所へと移動した。

車中では最後の別れを惜しむように孝宏と龍幸さんは昔のことを話したという。

孝宏は拳銃をチラつかせ、怯える2人におもちゃと言って安心させた。

 

目的地に車が着くと、孝宏は、おもちゃだから問題ないと原さんのこめかみに銃を当てて引き金を引いた。

龍幸さんは、こめかみから血が流れて倒れている原さんを見て何が起きているのか理解できなかったようだ。

孝宏に言われるまま、頭を差し出すと、次の瞬間孝宏に拳銃で撃たれ龍幸さんも殺害されて動かなくなった。

 

小夜子さん、龍幸さん、原さんの遺体は川に投げ捨てられた。

3人の遺体を川に捨てた後、一家は高見家に行って財産を探したが現金は発見できなかった。

 

400万円の借金のために4人の命が奪われてしまった。

事件発覚

3人の遺体を遺棄した3日後、穣吏さんの遺体が川に浮いているのを通行人が発見して通報。

まずは母・真美が警察に呼び出され犯行を自供する。

真美の自供に基づいて川を捜索してみると、車が発見され、車内からは小夜子さん、龍幸さん、原さんの遺体が発見された。

 

この時に父親の實雄も呼び出されたが、隙を見て拳銃で自殺を図る。

しかし、拳銃の弾は、實雄の頭蓋骨と皮膚の間を通って、頭蓋骨をぐるりとまわって額で停止したため失敗に終わった。

 

その後、福岡県警は次男・孝宏を逮捕し、続いて長男の孝も逮捕した。

 

一家4人には死刑が言い渡されて確定、現在は死刑囚として収監されている。