エンジェルメーカー事件のことが「奇跡体験!アンビリーバボー」で放映されてました。
エンジェルメーカー事件は、第一次世界大戦後のハンガリーのナジレブという小さな村で起こった事件です。
事件の始まり
第一次世界大戦が終わった後の1915年、ハンガリーのナジレブという村にも戦争に行った男性が続々と帰還してきます。
男たちが戦争に駆り出されている間も女性たちは力を合わせて力仕事もこなしてきました。
そんな中、帰還した夫です。帰還後はどの家庭でも久し振りの夫婦睦まじい時間を過ごしていました。
しかし、この時から14年にわたるおぞましい事件が起こりはじめます。
最初の犠牲者は、ホリバーでした。
当時、人口1,600人の小さな村には医者がいないため、助産師のユリウシュが応急措置や診察を請け負っていました。
ホリバー夫人に伴われて診察に当たりますが、ほどなくしてホリバーは死亡しました。
数日後、カルドシュが溺死し、シェバスチャンが病死と、戦争から帰ってきた男性が次々と死亡していきます。
ハッキリしたことが分からず、目立った外傷がなかったため、いずれも事故死や病死で処理されました。
村の男たちの気がかりなこと・・・・・・妻が夜な夜な外出していることを知り、男性ばかりが起きる伝染病、などと疑ったりしますが、結局は分かりませんでした。
最初のうちは男性ばかりの不審死でしたが、やがて女性にも起こます。
村の死者は倍増し、人口1,600人の村に対しついに死者は200人を超えました。
警察の捜査が開始
村人の住人が200人を超える不可解な死を次々と遂げ、ついに警察が目をつけ始めます。
警察の分析の結果、死者者に高齢者が少なく、働き盛りの若い世代が多い、また、不可解な事故死も多いということが判明しました。
そこで警察が現地に赴くことになり、捜査が始まります。
まず最初に聞き込みをしたのが、死亡した人々の死亡診断書を書いた村で唯一の医療関係者であるユリウシュでした。
その後、警察は村人たちに聞き込み調査を行いましたが、有力な情報は何も得られませんでした。
ホリバーの死から14年がたった頃には、死亡者数が300人に達していました。1,600人の人口に対して14年間で300人が死亡、それも多くが不可解な死でした。
一通の手紙
不審に思いつつも調査に進展がありませんでしたが、ホリバーの死亡から14年後、ハンガリー警察宛に一通の匿名による手紙が届きます。
その手紙には、「村の不可解な死は毒殺によるものである」と書かれており、その手紙を見た所長は、警察職員に「ナジレブへ行き墓を全て掘り起こせ」と命令しました。
すると、多くの遺体から猛毒の「ヒ素」が検出されます。
墓を掘り起こす警察
全ての真相を知る人物
匿名の手紙には、「事件の全てを知る人物」とされる者の名前が書いてありました。
全ての真相を知る人物の名として書かれていたのは、「ホリバー夫人」の名前でした。
そのため、警察はホリバー夫人を訪ね事件について事情聴取すると、ホリバー夫人はあっさりと犯行を認めました。
そして、「殺したのは自分の夫だけで、後は他の人が殺害した」と自供します。
警察の取り調べにより、女たちは次々と殺害を自供していきます。
取り調べの結果、逮捕された人数は26名、彼女たちが殺害した人数は162人にも上りました。
しかし、それだと殺害された300人には足りないことになります。
実は、夫殺しに味をしめた妻たちが姑や親類までも手にかけていたからでした。
最初のうちは男性ばかりの不審死が、女性にも起こっていたのは、姑や親類に不満を持った妻たちが手をかけたからでした。
夫殺しの理由
彼女たちが夫殺しに走った理由とは何だったのでしょうか。
それは、「すれ違う男女の愛」でした。
当時の村では、親が勝手に決めた男性と結婚させられることがほとんどで、男尊女卑は当たり前でした。
どれだけ冷たくされても、暴力を振るわれても、夫に尽くすことだけが女の務めである、そう教えられていたのです。
そして、女性はその価値観を当たり前として疑問を持つこともありませんでした。
そんな中、夫たちが戦争で次々と徴収され、いなくなります。
そんな矢先のこと、ナジレブの村で、ロシア人の戦争捕虜が収容されることになり、女性たちが世話をすることになりました。
ロシア人捕虜は、捕虜という立場もあってか女性たちに優しく低姿勢で接し、優しい言葉もかけてくれました。
そして、ナジレブの女性は、捕虜たちにだんだんと惹かれていくようになりました。
捕虜と接していくことで、次第に「自分を犠牲にして尽くすことだけが愛ではない」と思うようになっていきます。
しかし、ほどなくして戦争が終わり、捕虜たちも自国に帰っていき村から男が消えます。
そんなときに夫たちが戦争から帰還します。
こうして女性たちは、本当の愛を失ったことを知り、これから起こる地獄のような現実がやってくることを嘆くのでした。
夫殺しの決断
夫が帰還してからというもの、彼女たちはどうしてもロシア人捕虜との生活と比較してしまいます。
女たちは夫に疑われないように、夜な夜な集まって話し合い不満をぶつけあいます。
やがて女たちは、「あんな亭主はいらない、殺しましょう」と、不満を実行に移すことに決めるのです。
そして、毒殺に使ったヒ素は、女たちの良き相談相手であった助産婦のユリウシュが、ハエとり団子から抽出してみんなに配ります。
ヒ素で毒殺された夫は、ユリウシュが病死や事故死で処理したため、なかなか犯行が明るみに出なかったのでした。
その後の調査
その後、真相を知った警察はユリウシュの元へ行きましたが、全ての真相が明るみになったことを知ったユリウシュは、警察の目の前でヒ素を飲んで自殺しました。
こうして逮捕26人が162人を殺害したことが明るみになり、他の人々についても死亡原因が判明していきます。
そして、26人の逮捕者のほとんどが絞首刑や終身刑に処されました。
おしまい