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北九州連続監禁殺人事件

「北九州連続監禁殺人事件」は、2002年3月に最初に殺害された男性の娘が警察に保護されたことで発覚した監禁大量殺人事件。

男の名は、松永太。内縁の妻は、緒方純子。

犯人は、明るい人柄と巧みな弁舌を使って他人の家族を監禁・虐待によって奴隷状態にし、気に入らなければ自分は一切手を汚さずに家族同士で殺し合いをさせ、犯人の指示のもとに7人もの人間が殺された。

犯人は、他人の心を巧みに操ることにたけていただけでなく、遺体の処理方法についても非凡な才を発揮した。

犯罪史上類を見ない残忍かつ猟奇的だったため、報道規制が敷かれたことから事件の知名度は高くない。

松永太

緒方純子

事件の経過(年齢は下の画像から)

昭和55年3月  松永太、緒方純子(以下純子)が福岡県の同じ高校を卒業。

昭和57年1月  家業の布団販売を手伝っていた松永がA子と結婚。

昭和57年秋  松永と当時幼稚園教諭だった純子の交際が始まる。

昭和58年5月  松永が柳川市で有限会社ワールドを設立。詐欺的手法による布団販売を本格化。

平成4年10月  ワールド社破綻。松永と純子が北九州市で逃亡生活を始める。アパートを仲介した不動産会社員の知人(34)と知り合う。

平成6年10月  松永と純子が知人(34)の娘(10)を預かり同居を開始。

平成8年2月  不動産会社員の知人(34)が衰弱死させられる。

平成9年4月  松永が緒方家の財産を巻き上げ、緒方家全員を監禁。

平成9年12月  純子の父の緒方譽(61)が通電によって殺される。

平成10年1月  純子の母緒方静美(58)が絞殺される。

平成10年2月  純子の妹緒方理恵子(33)が絞殺される。

平成10年4月  純子の妹の夫緒方主也(38)が衰弱死させられる。

平成10年5月  純子の妹の長男緒方優貴(5)が絞殺される。

平成10年6月  純子の妹の長女緒方彩(10)が絞殺される。

平成14年3月  不動産会社員の知人(34)の娘(10⇒17)が逃亡して事件が発覚。祖父が被害届を出し、福岡県警が松永と純子を逮捕する。

(有)ワールドの詐欺商法

松永が設立したワールドは、脅し、罰金を用いて従業員を恐怖で支配する会社だった。

従業員の同級生や教師に無理やり高額な布団セットを販売させ、1億8千万円以上を稼いだ。

通電という虐待

最初の通電道具は、ワールド時代に高校の電気科を卒業した社員が遊び半分で作ったもので、最初はチクリとする程度だった。それを松永が改良し、威力を最大限に高め、従業員は恐怖に慄くようになる。

指に導線を巻き付けられて電気を通され、肉が溶けてケロイド状になり、骨が見えていた。応急処置でオキシドールを塗って油紙と包帯を巻いたが、指の間が癒着するという後遺症が残った。また、檻に閉じ込めてからは、腕の動きの異変が顕著になった。

遺体のない殺人現場

バラバラ殺人は、少なくないが、松永は遺体の処理方法についても天才だった。

自分は一切手を出さず、指示だけをして遺体の血抜きをさせる。

血抜きを終えると、包丁やノコギリで体を切断させる。

 

彼はまず、切断部分を少しずつ家庭用鍋に入れて煮込むよう指示した。さらに長時間煮込んで柔らかくなった肉片や内臓をミキサーにかけて液状化し、いくつものペットボトルに詰め、それらを公園の公衆便所に流させた。粉々にした骨や歯は、みそと一緒に団子状に固め、クッキー缶十数缶に分けて詰め込んだ。そして大分県の竹田津港まで赴き、夜更けにフェリー船上から味噌団子を散布した。(消された一家 北九州・連続監禁殺人事件)

 

仲の良かった姉妹も10歳の姉に5歳の弟を殺すように指示し、自分では一切手を汚していない。

裁判

一審では、松永と純子に死刑判決。

 

二審では、松永に死刑判決。純子に対しては、一審同様責任能力を認め、心神喪失を否定するが、犯行時の心理状態が松永による通電などのドメスティックバイオレンスの強い影響下にあった、長年にわたって松永の手足となって汚れ役をさせられた、恐怖心から指示に従った、判断力が低下していた可能性がある、と純子の判断力の低下を認めた。また、逮捕後は、事件について隠し事をせずに自白し、事件の解明に寄与し、真摯に反省していることから無期懲役に減刑された。

 

参考文献

北九州連続殺人事件の教訓

「消された一家 北九州・連続監禁殺人事件」豊田正義