Pocket

福島悪魔祓い殺人事件

福島悪魔祓い殺人事件は、平成7年に福島県の須賀川市で祈祷師の江藤幸子が、除霊行為と称して起こした殺人事件。江藤幸子の家からは、6体の白骨化した遺体が発見された。

事件概要

平成2年、江藤幸子は、夫と子供と一緒に生活する普通の主婦だった。幸子は化粧品のセールスをして、夫は塗装業を営んでいたが、ある日夫が仕事で腰を痛めて仕事が出来なくなる。借金が2,000万円あり、悩んだ幸子は、夫と一緒にある宗教団体に入信する。その宗教団体では、「手かざし」という手から発せられるパワーをもちいて体の悪い部分を治療していた。しばらくして夫は他の女性とともに失踪、幸子のもとを去っていった。

一人になった幸子は、やがて教団を抜けた。生活のために化粧品のセールスを再開した幸子は、ある日客から肩こりが酷いという相談を受け、教団で見た「手かざし」を客に実践してみた。すると、「軽くなった気がする」、客の肩こりが治ってしまう。まさかと思い、他の人にも「手かざし」をやってみると、他の人にも効果があらわれて感謝されるようになる。中には謝礼と言って金銭を支払ってくれるものまで現れる。有名になっていくことに気をよくした幸子は、自らを祈禱師と称して自宅で治療を開始する。

治療行為は次第にエスカレートしていき、ある日、高血圧症で悩む主婦Aに「キツネが憑いている」と言って「手かざし」をすると体調がよくなってしまった。感激した主婦A子は夫を連れてくるようになった。次に姉B子に幸子を紹介すると、姉B子は糖尿病の夫と緑内障の娘を連れて幸子に相談する。「手かざし」を受けた夫も数日して症状がよくなったと感謝するようになる。こうしてA子とB子の家族は幸子の家へ通うようになった。先生と呼ばれることに快感を感じるようになった幸子は、連日自宅に通ってくるA子とB子に家族ごと幸子宅に住むことを勧めた。

こうして平成6年11月、幸子と幸子の娘、主婦A子とその夫、主婦B子とその夫と娘、による奇妙な共同生活が始まった。B子の夫は、相談者からお布施を集め始めたが、共同生活は出費がかさんでいた。やがて幸子は、B子にお金を用立てると、幸子は100万円以上のお金を受け取った。尊敬され、皆の金を動かせ、自由に人も動かせる、そう感じるようになった幸子は、やがて自分を「幸子様」と呼ばせる。

平成6年12月、B子の娘が友人の女学生C子を連れてくる。後日、C子が彼氏D男を連れて幸子の下につれてくると、D男を一目見た幸子は一目惚れしてしまった。D男は、もともと宗教的なことに興味はなかったが、幸子に特別優しくされ気をよくし、頻繁に訪れるようになる。やがて幸子は、D男は神様が使わしたと皆に説明し、D男に対しても「様」をつけて呼ぶように言った。すると、入ってきたばかりの男の特別扱いを喜ばないB子の夫が文句を言った。幸子は、自分の意見に逆らったB子の夫にたいして「悪いヘビの霊が憑いている」と正座させる。

夫と別れて以来、安らぎを感じることがなかった幸子は、D男を手放したくないと思うようになった。そこで、幸子はD男の彼女であるC子に、D男と別れるように言う。しかし、C子は、「別れたくありません」と断る。それを聞いた幸子は、「除霊する」と言って、太鼓のばちを取り「キツネ早く出ろ」と叫びながらC子を叩いた。幸子を信じていたC子は、その後も幸子の家に通うが、やがて幸子のもとを去って行った。

C子が去った後は、幸子は益々、D男に夢中になっていった。ある日二人を見た幸子の娘が「若い男と昼間っから何やってるのよ」と幸子と口論をする。皆のまえで失態をしてしまった幸子は、無関係のA子に対して、「昨日の喧嘩はあんたが呼び込んだ」と言いがかりをつけ、正座をさせて太鼓のばちで殴りつける。幸子は、この暴力行為を「御用」と呼んで、他の皆にも御用をさせた。A子に対する暴力をA子の夫がためらっているのを見ると、幸子はA子に「D男のことをどう思ってるか聞き」、A子が「何も思ってない」と答えると、幸子は本当のことを言えないのはキツネのせいだという。やがてA子は言わされるかのように「好きです、愛しています」と言うようになり、それを聞いて嫉妬したA子の夫にA子を殴らせた。それを見ていた幸子の娘も自分だけ加わらないと居場所がなくなると思い、御用に加わるようになる。愛するD男がA子に御用を行うのを見て、幸子は自分に対する愛情と感じて喜んだ。A子は、一日正座させられ、食事は一日一食、水もほとんど与えられず、トイレも制限させられた。御用は連日行われ、平成7年1月25日、遂にA子は死亡する。それを見た幸子は「死んでない、神様が魂を引き上げて清めている。魂が浄化して戻ってくる、修行しているだけだ」といって、死体を布団の上に寝かせて放置した。

さらに同じ頃、以前、幸子に逆らったB子の夫も御用で亡くなる。二人の死因は、生命維持に必要な臓器が直接被害を受けていなくてもショック状態で死ぬことがあるという「挫滅症候群」だった。当時、幸子の自宅にはカギがかかっていなかったが、皆が二人の死亡に加担していたため、誰も出ていこうとはしなかった。彼らは幸子の死んでないという言い分を信じるしかなかった。

ある日幸子は、B子の高校生の娘がD男をドライブに誘っているのを目撃した。嫉妬した幸子は、B子の娘に対して御用を行い、やがてB子の娘は亡くなる。さらに、高血圧で寝ていたB子が幸子を出迎えなかったため、怒った幸子はB子に御用を行い、B子は御用によって亡くなった。

一方で幸子の評判を聞いて相談に来る客は後を絶たなかった。そして、花粉症で悩む女性と喘息を持つ子供の一家が新しく共同生活に加わった。直ぐに幸子は、若くてきれいな花粉症で悩む女性に嫉妬し、女性に御用を行った。すると突然、喘息を持つ子供の父親が場を仕切りだした。神である自分を差し置いて仕切るなど言語道断ということで、喘息を持つ子供の父親も御用の標的となった。これで新たに花粉症で悩む女性と喘息を持つ子供の父が死亡した。共同生活開始から4か月の間に6人が死亡した。

集団生活から8か月経った平成7年7月、喘息を持つ子供の親族が幸子の自宅に乗り込んだことがきっかけで事件が発覚した。

警察が幸子の自宅に踏み込むと、奥の部屋に6人の遺体が寝かせられているのを発見した。

判決

江藤幸子は、2つの傷害致死罪と4つの殺人罪で死刑判決を受け、平成24年9月27日死刑が執行された。

幸子の娘とD男は、無期懲役。

A子の夫は、懲役18年。