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平成3年11月22日、札幌市に住む北海道庁職員の夫婦が若い男女二人組に殺害される事件が起こった。

加害者のうち、女のほうは殺害された夫妻の実の娘だった。

札幌両親強盗殺人事件概要

池田夫妻が殺害されたのは、平成3年11月22日に日が変わった午前1時頃だった。

11月21日午後11時半、池田家の前に停車する高級車から1人の若い男性が下りてきた。

池田家夫妻の寝室の電気が消えるのを待ち、池田夫妻の一人娘の真弓の手引きによって中へと入って行った。

 

平成4年(1992)1月26日になって、北海道札幌市北区に住む北海同庁の職員・池田勝明氏(45)とその妻の泰子さん(45)が、東区中沼町で惨殺死体で発見された。

夫婦の死因は、ともに刺傷による失血死で、全身をメッタ刺しにされた後、車ごと焼却されていた。

 

同日夜、捜査本部は殺害された池田夫妻の娘真弓(19)と、真弓の交際相手のイベント会社社長・安川奈智(24)を逮捕した。

犯行内容

安川の供述によれば、11月22日午前1時ごろ、安川と真弓は、池田夫妻が寝静まるのを待った後、台所から包丁を持ってきて池田夫妻の寝室に向かった。

夫の勝明さんの枕元には安川、妻の泰子さんの枕元には真弓がそれぞれ包丁を持って立ち、同時に包丁を振り下ろした。

様子に気づいた母親が悲鳴を上げると、真弓はびっくりして寝室を飛び出していった。

安川が呆気なかったというようにあっさり勝明さんを殺害すると、今度は泰子さんに襲い掛かり、背中を2回、首の後ろを1回刺して殺害したという。

 

安川と真弓は、夫妻を殺害後、一緒に風呂に入り、家にあった現金20数万円の他、通帳、各種証書、家具などを物色して盗んだ。

二人は、夫妻の遺体を車中に遺棄し、車ごと燃やした。また、夫妻を自殺に見せかけるため、遺書の偽造も行った。

 

当時、二人は生活費に困っており、夫妻を殺害後、平成4年1月6日までに保険解約や家具を売却するなどして合計680万円を手にしていた。

安川奈智の生い立ちと人となり

安川は、小学2年生の頃に両親が離婚し、横浜から旭川へと引っ越すことになる。

 

家計を支えるために新聞配達のアルバイトをしながら少年時代を過ごし、北星学園大学の文学部に進学した。

ホストクラブで働きながら教員免許を取得するなど、努力家の一面もあった。

 

安川は、大学卒業後、起業家を気取っていたが、実際は女性に取り入ることしかしていなかったようだ。

安川と真弓が交際を始めた当時は、安川に収入はなく、二人の生活費は、真弓の貯金とホステスをして稼いだ収入から充てられていた。

 

警察が安川と不倫関係にあった4人に聞き込みを行うと、4人全員が安川から保険金目的の夫殺しの計画を持ちかけられていたことが分かった。

同棲生活

安川奈智と真弓が出会ったのは、 平成3年(1991)の5月の札幌だった。

 

真弓が応募した イベントコンパニオンのオーディションの 面接官が安川だった。

面接では、安川がプロダクションの社長で、 副社長はフランス人、JALや西武グループと 取引があるなどと真弓に言った。

しかし、実際は従業員はおらず、 安川1人しかいない開店休業の会社だった。

 

真弓は、すぐに安川に惹かれるようになり、やがて安川の自宅兼事務所に出入りするようになる。

アルバイトが始まる前に、真弓は安川から睡眠薬を飲まされて強姦されている。

それでも真弓は、安川のマンションに入り浸るようになる。

 

真弓は当時、「渡辺満里奈似のすらりとした美人で、お嬢様育ちで、育ちの良さがにじみ出ており、北海道ではそこそこの大学に通う知的な女性」と報道された。

真弓が、安川から1日に5,6回も体を求められ、ときにはガムテープで口をふさがれたり、野菜やカラオケマイクを性器に入れられたり、尿を飲まされそうになったと供述すると、SMプレイに溺れた美人女子大生として報道されることもあった。

 

真弓は、「私は両親がいくら心配していようと、那智さんと生活できればよかった。別れることなんてできないし、あの人を手伝わなければならない。」と事件当時の心境を語っている。

判決

公判では、真弓と安川の供述は、ことごとく食い違っていた。

証言台に立った真弓と安川は、互いに怒りをあらわにして主犯役をなすりつけた。

 

最後まで詳しい犯行や殺害理由が不明のまま、真弓は無期懲役の判決が下る。

 

安川に対しては、安川が犯行を指示していたと認めつつも、極刑にすべきだとまでは言えないとして、無期懲役の判決が下った。