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神戸風俗王惨殺事件(こうべふうぞくおうざんさつじけん)は、平成15年(2003年)1月17日に兵庫県神戸市中央区のマンションで起こった殺人事件である。

神戸風俗王惨殺事件概要

平成15年(2003年)1月18日午後6時10分頃、神戸市中央区のマンションの一室で風俗店グループのオーナー田中英貴さん(47)が惨殺されて発見された。

 

秘書の福岡幸子(23)と連絡がとれないことから、会社関係者が福岡の自宅を訪ねてみると、刺殺されたオーナーの田中さんと福岡の二人を発見した。

警察の調査によって、オーナーを殺したのは、右腕と言われた主犯の男と秘書の福岡ら側近の仕業だったことが判明した。

警察は、主犯の上江修一及び秘書福岡幸子、さらに共犯の3人の計5人を逮捕した。

アリバイ作りと逮捕まで

オーナーの田中さんの惨殺死体発見時、一緒にいたオーナーの秘書・福岡幸子もガムテープで縛られて発見された。

しかし、事件は、オーナーの右腕といわれた上江修一(32)を主犯とした秘書ら側近の狂言だった。

 

警察に保護された幸子は、事件の状況について警察に問われると、片言の日本語を話す東南アジア系の外国人3人組に襲われたと答えた。

しかし、警察は当初から幸子の証言には疑問を持っていた。

彼女だけは刺されておらず、証言も不自然だったことから幸子をマークし、周辺の関係者を調べると、上江修一と元運転手の飯伏実(34)の存在が明らかとなった。

飯伏実に任意同行を求めるとあっさりと犯行を自供した。

 

飯伏は、上江修一を主犯とした強盗殺人であったことを自供した。

さらに警察の取り調べにより、共犯の幸子、報酬目当てに加わっていた南信幸(35)、中国人のヒットマン李相虎(21)の3人が容疑を認めた。

逮捕された5人のうち、上江修一だけが容疑を否認し、主犯は幸子と飯伏と述べている。

 

平成17年年4月、上江に懲役15年、飯伏に懲役14年、幸子に懲役11年が言い渡された。

風俗王

殺害された田中さんは、神戸や福原でヘルス、パブ、セクシーキャバクラ、ソープランド等の店舗を十数店舗経営する風俗店のオーナーだった。

日収2,000万円を稼いでいたことから「関西の風俗王」と呼ばれていた。

資産20億とも30億ともいわれ、芦屋の豪邸に居を構えていた。

 

風俗王の人使いは荒く、虫の居所が悪いと従業員は容赦なくボコボコにされ、中には骨を折られた者もいた。

風俗王の下で店を切り盛りして働いていたのが上江修一で、風俗王の運転手が飯伏だった。

 

幸子は元々ヘルス嬢として風俗王の店で働いていたが、店を辞めようとした際に風俗王から秘書の話を持ちかけられ、ヘルス嬢から秘書兼風俗王の情婦となった。

帰国子女の転落人生

社長秘書兼情婦の福岡幸子は、幼少期を海外で過ごした帰国子女で、語学も堪能だった。

神戸市内の私立中高を卒業し、外国語系の大学に進学、一時は東京大学や京都大学を目指すほどだったという。

 

やがて失恋を機にキャバクラでバイトを始め、ホストクラブに通い詰めるようになる。

高額な美顔器を購入させられるなど多額の借金を抱え、大学も中退する。

 

返済に困った福岡幸子は、風俗王が経営する風俗店で働き始める。

「いちご」の源氏名で人気フードルとなった福岡幸子は、風俗雑誌の表紙を飾るようになり、やがて親が知るところとなる。

 

風俗嬢を引退した後は、田中社長の秘書兼情婦になった。

殺意

主犯の上江は連日のように風俗王にこき使われ心身ともに疲労困憊だった。

上江は風俗王の後継者になることを夢見ていたが、風俗王にその気はなかった。

10年間の鬱積が爆発して上江に犯行を決意させたのだと幸子は供述している。

風俗王を殺すことを決意した上江は共犯者を探すことにした。

 

福岡幸子は元々、上江修一に好意を抱いていたが、風俗王に「女になれ」と脅され半ば強制的に風俗王の女になった。

事件前に幸子がレイプされる事件が起き、警察に被害届を出そうとすると、風俗王は会社の名前が出ることを嫌って被害届を出させなかった。

この事件がきっかけとなって幸子は風俗王に憎しみを抱いたという。

上江は自分に好意を持っていることを利用して幸子に風俗王を呼び出させた。

 

飯伏実も元は風俗王が経営する店舗の社員だったが、風俗王の暴力に耐えきれず逃げるように辞めていた。

上江は自分の代になったら飯伏を役員として重宝することを約束して犯行に加えさせた。

報酬目的で飯伏の知人の南信幸も加わった。

 

飯伏は、風俗王の運転手を辞め、新宿でヒットマンを探し、数日後、中国人の李相虎を連れて帰った。

 

こうして社長秘書の福岡幸子が飯伏ら実行犯をマンションに手引きし、殺害を実行させた。

 

 

 

 

参考文献

「殺戮者は二度わらう」新潮45編集部(新潮文庫)