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インディアスの破壊についての簡潔な報告

インディアスは、現在の西インド諸島、南アメリカと北アメリカの一部のことをいい、インディアスがスペイン人に発見されたのが1492年のことである。

「インディアスの破壊についての簡潔な報告」は、司教バルトロメー・デ・ラス・カサスがインディアスで見たスペイン人の残虐非道な所業を国王カルロス5世に報告するための文書。

 

舞台となったのは、今の地図でいうとメキシコからペルー、ベネズエラ、コロンビア辺りまでと、カリブ海の島々(キューバ、ジャマイカ、ドミニカ共和国等)で、そこに住む先住民に対する虐殺、殺戮、絶滅が描かれてる。

例えば、最初に侵略したエスパニョーラ島(ドミニカ、ハイチ)では、300万人いたとされる先住民が虐殺によって200人程度にまで減ってしまったとあり、周辺の島でも50万人いた先住民が絶滅したとある。

人のいい先住民(インディオ)たちは、スペイン人に食糧を差し出したが、スペイン人は棒で彼らを殴りつけ、司令官は王の后を強姦した。彼らは、老若男女問わず、妊娠中の女性も産後間もない乳飲み子もことごとく捕らえ、腹を引き裂き、ずたずたにした。生き残った先住民は奴隷にされ、獣以下の扱いで働かされた。

彼らは、誰が一太刀で体を真っ二つに斬れるかとか、誰が一撃のものに首を切り落とせるかとか、内臓を破裂させることができるかとか言って賭けをした。彼らは母親から乳飲み子を奪い、その子の足をつかんで岩に頭を叩きつけたりした。また、ある者たちは冷酷な笑みをうかえて、幼子を背後から川へ突き落し、水中に落ちる音を聞いて、「さあ、泳いでみな」と叫んだ。彼らはまたその他の幼子を母親もろとも突き殺したりした。こうして、彼らはその場に居合わせた人たち全員にそのような酷い仕打ちを加えた。

ベネズエラ王国では、ドイツ人がこれまで以上の残酷、残忍性をもって侵略して400万、500万人以上の罪のない先住民を殺戮した。

グアテマラ地方では、侵略者によって500万人の先住民が殺された。彼らは降伏した先住民に食事を与えないで他の先住民と戦わせ、他の先住民を捕らえたときは捕らえた先住民を食べることを許した。人肉を売る店ではスペイン人立ち合いで先住民の子供が殺され、焼かれた。

ペルーでは、王を捕らえて財宝を差し出させ拷問を与えて殺した。地方の領主たちも火によって焼き殺し、八つ裂きにした。

 

大航海時代は、ヨーロッパ人にとっては新しい時代の幕開けであったかもしれないが、先住民にとっては悲惨な時代の幕開けであった。

ヨーロッパ人によって殺された先住民は新大陸発見から40年で1,500万人を超えるといわれるが、実際は何千万人なのか不確かのようである。ただ、侵略者による搾取と殺戮は日常的だった。

 

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
キリスト教化と文明化の名の下に新世界へ乗り込んだスペイン人征服者によるインディオの殺戮と搾取ー。残虐非道が日常化した植民地の実態を暴露し、西欧による地理上の諸発見の内実を告発した植民地問題の古典。十全な解説を付した改訳決定版。

【目次】(「BOOK」データベースより)
インディアスの破壊についての簡潔な報告/エスパニョーラ島について/エスパニョーラ島にかつて存在した諸王国について/サン・フアン島とジャマイカ島について/キューバ島について/ティエラ・フィルメについて/ニカラグア地方について/ヌエバ・エスパーニャについて/グアティマラ地方とその王国について/ヌエバ・エスパーニャ、パヌコ、ハリスコについて/ユカタン王国について/サンタ・マルタ地方について/カルタヘーナ地方について/ペルラス海岸、パリア海岸、トリニダード島について/ユヤパリ川について/ベネスエラ王国について/大陸にあってフロリダと呼ばれる地域の諸地方について/ラ・プラタ川について/ペルーにある数々の広大な王国と地方について/新グラナダ王国について