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栃木実父殺し事件

栃木実父殺し事件は、1973年4月4日に最高裁で普通殺人の他に尊属殺人を設けていることを憲法違反とするきっかけとなった殺人事件。

尊属とは、両親、祖父母・・・・・・、自分から遡った血族のこと。

当時は、普通殺人の刑罰は、死刑又は無期若しくは3年以上の懲役としていたが、尊属殺人の刑罰は、死刑又は無期懲役に限定されており、普通殺人の刑罰よりも著しく重い刑罰だった。

事件概要

1968年に栃木県矢板市の29歳の女性が姦淫を強要した53歳の実父を殺害した事件。

女性は、14歳の時に実の父に姦淫され、以後10年以上にわたって夫婦同様の生活を強いられ、実の父との間に数人の子を産んでいた。

その後、女性は職場で出会った男性と結婚する機会にめぐまれたが、実の父はこれを許さなかったばかりか10日以上にわたって脅迫と虐待を加えた。

このことがきっかけで将来を悲観した女性は、この境遇から逃れるために実の父を絞殺したうえ、自首した。

裁判

第一審の宇都宮地裁は、刑法第200条(尊属殺人罪)を憲法違反として普通殺人罪(第199条)を適用しようとした。

第二審の東京高裁は、第200条を合憲としたうえで、最大の減刑を加え懲役3年6月の有罪判決を下した。

最高裁は、第200条を憲法違反として第199条を適用し、懲役2年6月執行猶予3年の判決を下した。

 

最高裁は、目的については合憲であるとしたが、立法目的達成のため必要な限度をはるかに超え、普通殺人の法定刑と比較して著しく不合理な差別的取り扱いをすると認められ、憲法14条1項に違反して無効であると、手段違憲の判断をしている。6名の裁判官は、立法目的自体が違憲としている。